【代表コラム】環境を整える

石上国語教室代表の石上孝子です。

 保護者の皆様、児童、生徒の皆様、“国語”は得意でしたか?また、現在も胸を張って得意と言えますか?

 振り返って、ちょっと苦手だった、好きではなかった、わかりにくかった……そう思う方もいらっしゃることでしょう。

 勉強の仕方も、定まったやり方があるわけでもなく、何かぼんやりとつかみにくかったという方が多いのではないでしょうか?また、未だに勉強方法がつかめないという方も。27年間の塾の指導と、それに先立つ3年間の学校での指導を通して、むしろこのようなことは自然なことのように思います。大部分の方は、国語を勉強するうえで環境整備が必要であることをご存じないからです。

 私は、これを“国語的環境”という造語にして今まで説明してきました。国語が好きだと答えた方は、たまたまこの環境が整っていたり、自分でも整えることができた方なんだと思います。

整えるべき3つの国語的環境

言語環境

世代を超えて言葉を獲得し、それを使ってコミュニケーションを積極的にとり、それ  

を使って書いたり読んだりを自在にできる。“語彙を豊かにし、積み上げられる環境”

読書環境

1つの力をベースに自ら本を選び読むことができる環境。“生育環境”

自然に親しみ、歴史や地理など多岐にわたって文化を知ることのできる環境。また、多様な人とコミュニケーションをとれる環境。

国語的環境は積極的に整える必要がある

 3つの環境が一つでも多く整えられれば、国語の大切なベースは整います。

 “いろり”、“ひぐらし”、“すだれ”、“節句”、わからない子どもも増えています、高度にオートメーション化され、電脳化された現代に、幼いころからこのような懐かしい風景を想像したり、理解できる子供は少ないのです。また、核家族化がたいへん進んでいて違う世代の人に会うことも少なくなり、コミュニケーションも家族と同年代の友達を中心に、ごく限られた狭い範囲のものとなっています。

 さらに、スマホの普及により、ここ10年は多くの人が絶えず何かのコンテンツに心を奪われる時間が増え、読書や思索に集中することは、前より困難になってきました。

 こんな中で多くの方が、“国語的環境”とは程遠い環境の中で多ジャンルからなる“説明文”、また、知らない時代の“物語”を理解することは“わざ”ともいえる取り組みが必要なのだと考えられても不思議ではありません。

 日本人なのだから、日本語は読めて、書けて、話せて、聞けて当たり前……!?なのではなくなったからです。

 石上国語教室は、25年間この失った環境を埋める作業を全力で行ってまいりました。  「もっとはやく成績を上げて」、「1ヶ月で何とかして!」、保護者の心の声が聞こえて、つらく感じるときもありました。現在この声に無理にこたえようとすると、それは“暗記”の強要となります。せみは夏、サッカーは冬の季語、背景をわからずに暗記ですべてとらえたり、穴埋めに力を入れれば、それは教育改革の行われる2021年に、もう一度考えてみたいと思います。